九州セミコンダクターKAW 山香工場様

九州セミコンダクターKAWは、半導体事業と前工程(ダイボンディング、ワイヤーボンディング、ポッティング、テスト、出荷の検査という一連の作業)から組立工程まで行っています。ミクロン単位の精度を必要とする半導体事業で培われた技術とサービスで、お客様のご要望にお応えします。FA部門では、自社の工程改善のほか、3D CADを駆使して様々な分野の装置・治具の設計を行っています。

株式会社九州セミコンダクターKAW 山香工場  [ 半導体・製造・組立 ] 

所在地: (山香工場)大分県杵築市山香町大字内河野4036番地

TEL: 0977-75-0200  FAX: 0977-75-0766

URL: http://www.kyushu-semi.co.jp/

3Dコミュニケーションでお客様とのイメージの食い違いを解消。
縦横無尽なロボットの動作確認に3Dは必須。

半導体で培った技術を他分野にも応用

(山川氏)この工場は半導体の組立から始まりました。半導体は精度、強度などの規格に厳しく、肉眼では見えないミクロン単位の世界です。作業者は、ウエハーのダイシング、ダイボンディング、ワイヤーボンディングなどの細かい作業に慣れており、普通なら気づかないような小さなへこみや傷も見逃しません。半導体で培われた職人技は我々の強みだと思います。
(渡邉氏)弊社の事業は現在大きく三つに分かれています。まずプリンターのヘッドを作る事業、医療系や半導体系の製品を作る新製品事業、それから私が所属してるFA事業です。FA事業部は自社の工程改善はもちろん、自動車、医療、食品など分野を問わず、装置の設計から組み立てまで請け負っています。


FA 事業部 技術部 部門長 山川 歳夫 氏

IRONCAD導入までの道のり

(山川氏)4、5年前に、自社の半導体組立工程の効率化を図るために自動化推進課を作り、ライン工程の省略化や簡略化といった工程改善を手掛けたのがきっかけで、FAを事業化しました。IRONCADを採用したのは2013年。一足先に3D化した取引先からIRONCADを紹介されたのとちょうど同じ頃、部下からもIRONCADを採用して業務効率を改善する提案があったんです。いかに短い工数で設計するか、いかにコストを下げるかで悩んでいましたが、IRONCADは他のCADよりもコストをかけずに業務を改善できると判断しました。
(渡邉氏)IRONCADを選んだ理由は、アニメーションや干渉チェックなど3Dならではの機能を搭載し、コストパフォーマンスに優れていたからです。


仕事の速度がアップ

(渡邉氏)モデリングが速いので、仕事がしやすくなりました。カタログブラウザに揃っているシェイプを選んでいけばすぐに絵ができて、あとは削ったり穴をあけたりするだけ。あれはものすごくいいですね。2次元で平面に線を描いて回転や押し出しで肉付けするよりも確実に速い。


FA 事業部 技術部 渡邉 真哉 氏

お客様の思いをそのまま形に 

(山川氏)お客様とのコミュニケーションがよく取れるようになりました。3Dなら立体的に様々な角度から見えるので、どういう装置を作ろうとしているのかイメージが伝わるんです。「ここをこうしたい」「こういう動作を想定している」「このタクトでやりたい」というお客様の意思も伝わってきます。2Dで進めていたら、「こんな動きのロボットを作りたい」というイメージを確認するだけで相当時間がかかっていたでしょう。その辺の効果はとても大きいと思います。3Dだと思った通りのものができているか一目瞭然です。お客様に裏側まで確認していただけるので、間違いがありません。その点で効率がよく、本当に短期間で設計できるんです。


▲ 実際にIRONCAD で設計した装置

干渉部分の見落としが7、8割減少

(渡邉氏)アニメーションで動作を確認できる、干渉チェックできる、断面が見られる、解析ができる。そういうところが3Dのよさですね。
一番大きいのは干渉の部分です。2D図面をよく見ると線が重なっていたという事態は、3Dの導入で7、8割がた減らすことができました。


▲ 実際にIRONCAD で設計した装置

組図が正確にできるのも3Dの利点

2Dの場合、自分で描いた部品図を重ね合わせて組図を描くので、どうしても漏れや干渉が出ていました。3Dだと一発で発見できるので、時間も短縮できるし、正確な絵が描けます。


▲ 実際にIRONCAD で設計した装置

3Dと2Dの連携に感動

(山川氏)ワンタッチで2Dに落とすことができて、修正点が出てきても、3D側を修正すれば2D側も自動的に変更されるというのは感動しました。


3Dシミュレーションで難度の高い案件も可能に

(山川氏)3Dでないと不可能な案件もあります。あまりに構造が複雑だと2Dでは難しいんです。3Dなら高度なものでも瞬時にできるので、便利ですよね。
最近多いのが多軸ロボットの案件です。ロボットを作るだけなら2Dでも問題ありません。しかしセル方式の複合的な仕事を自動化する場合、干渉のチェックが必要になります。3Dなら「人がここに居た場合、こう動いたらどこにぶつかる」というシミュレーションを事前に行えます。あれはすごく感動しますね。
2Dの頃と比べると、3Dを導入したことで3、4倍効率が良くなったのではないかと思います。


設計の幅が広がり案件増加

(山川氏)以前は部下が作成した図面の検図が多かったのですが、3Dを導入してから設計の幅が広がり、案件が増えたので、私も設計せざるをえない状態になりました。今となっては3Dがなければすべてをこなすことは不可能です。


短期間で操作を習得

(渡邉氏)習得に時間はかかりませんでした。1ヶ月なくても、(操作を)飲み込めます。他のCADとも似たところはあるので、3Dの経験があれば、より覚えるのは早いと思います。
(山川氏)習得時間は本当に早かったですね。最初は3Dで設計できるか不安がありましたが、1週間ほど触っていたら、イメージ通りに動いてくれるようになりました。


▲ ウェハーの製造ライン

解析ソフト(MPIC)で納品物に自信

(渡邉氏)解析を行うのは、装置が重かったり荷重がかかる場合、つまり「怖い」ときです。しかし解析で十分な情報が得られれば、自信を持って納品することができます。MPICを使ってみましたが、(以前使っていた高額なソフトと比べ)遜色ないどころか機能的にはそれ以上かもしれません。


▲ 組立作業場

IRONCADをバイクに例えるとアメリカン

(渡邉氏)IRONCADを趣味のバイクに例えた場合、真っ先に浮かぶのはアメリカンですね。ハーレーではなく、日本車のスティードやドラッグスターの400ccくらいのイメージです。理由は本当に取っつきやすかったから。まったく初めての人がIRONCADを触っても、操作が簡単で習得が早いと思います。自分で絵を描かなくても、すぐポンと持ってこられますから。


取材: 2017年