イワタクリエイトは、産業機械の省力化・自動化をテーマに設計から部品加工、組立、調整までを一貫して行う機械設計製作のプロフェッショナルです。様々な分野で顧客のニーズに応じた機械製作を得意としています。大型の加工設備を有し、あらゆるサイズの部品製作が可能で、製缶や溶接加工も行います。「誰にでもスムーズに気持ちよく操作でき、それぞれの目的にあった機械」を信条に活動を続け、2016年で創業48年を迎えました。
株式会社イワタクリエイト [ 省力化機器設計製作 ]
所在地: (本社)島根県松江市東出雲町錦浜583-5
TEL: 0852-52-2782 FAX: 0852-52-5607
IRONCADで立会い後の工数とコストを削減。
3Dデータの共有で顧客とのやり取りがスムーズに。
二次元CADをお使いの際に困っていたことは?
(濵﨑氏)設計は二次元でもできていました。しかし、お客さんから依頼を受けたものを作っていくので、製品ができた段階で細部の確認作業がどうしても出てきて、完成後に更に手を加えるという作業が多かったんです。お客さん全員が二次元の図面を読めるわけではないので、なかなか機械のイメージが掴めなくて、機械が出来てから決めさせてよ、という話になってしまうんです。
予めお客さんにある程度判断してもらうには、3Dで一度見てもらった方がいい。それで3Dを入れようと検討を始めました。
製造部長 濵﨑 聡 氏
選定時に悩んだ点は?
(濵﨑氏)一番大きな問題は費用的なところ。3Dは2Dに比べて比較的値段が上がるので、費用に対して効果がどの程度あるのか、というところで悩みました。
IRONCADを選んだ理由は?
(濵﨑氏)使いやすさ、つまり「頭で描いたことをスムーズに形にできるかどうか」を一番重要視していました。Triball(IRONCADの配置ツール)とか考え方とか、設計の妨げにならず、設計がスムーズにできそうだったんです。費用対効果の面でも、年間保守の金額も含めてこれならメリットが出るだろうと考えました。
他のCADを選ばなかった理由は?
(濵﨑氏)描くことが仕事になってしまいそうだったんですよ、ほかのソフトは。描くことに一生懸命になってしまってそっちに時間を使ってしまいそうな操作性でした。もちろんそれぞれいいところがあるんですけど、色んなものをオーダーメイドで作っている企業としては、作図の時間が掛かりすぎるんじゃないかという懸念がありました。その点でIRONCADはツールとして非常に使いやすかった。
IRONCADの導入効果は?
(濵﨑氏)まず当初の目的であった、機械の立会い後の追加の作業がかなり減りました。お客さんに3Dで機械を見ていただいて、どこに何をつけましょうだとか、ここちょっと手が入りそうだからカバーをして欲しいだとか、そういった打ち合わせが事前にできるようになりました。逆に最初の段階でお客さんが悩まれる部分が多少増えますが、その後が非常にスムーズに行きます。トータルで考えると納期もコストも間違いなく減ったなあと思っています。
今は若手の設計者も増えていて、細かい図面の確認もお互いスムーズにできるようになりました。部下とのやり取りも非常に楽になりました。
当初期待したよりも、2から3倍ぐらいは効果があったんじゃないでしょうか。
▲実際にIRONCAD で設計したモデル
お取引は増えましたか?
(濵﨑氏)IRONCADのおかげで何社か結びつきができました。お手伝いできることはないですか、と伺ったお客さんが同じIRONCADを使っておられて、ぜひ設計を手伝ってもらいたいということで、すぐ契約して仕事をいただいたことがあります。
新規の営業の時、実機を持って歩くわけにも、オーダーメイドの機械のパンフレットを個別に作るわけにもいかないので、ノートパソコンで3Dの絵を見ていただいて、営業ツールとして使っています。販売店の営業の方にも広げていきたいです。
▲実際にIRONCAD で設計したモデルの二次元投影図
IRONCADの最初の感想は?
(高橋氏)3D CADは初めてだったんですが、直感で面白い、って思いました。簡単に組み合わせていくだけで形ができていくところが。図面もようやく読めるようになったぐらいの時だったので私にできるのか、という不安もありましたが、実際に使ってみると全然、思ったより簡単にできました。
製造部 高橋 祐香 氏
習得にどれくらいの時間が掛かりましたか?
(濵﨑氏)導入してすぐは楽しくて結構夜遅くまで黙々とやってました。体験版で一ヶ月、導入してからお客さんに図面出すまで一週間くらいだったかと思いますよ。
使えば使うほど操作性のよさを感じますね。設計業務の頭の中で描いたものをすぐ形にしやすいっていうところで。
▲ IRONCAD での設計作業。増設も検討しているという。
IRONCADのどんなところが便利ですか?
学生時代は別のCADを使っていたんですけど、パーツごとに保存しないといけないのが大変だったんですよね。IRONCADはアセンブリとパーツの概念がないので、データの管理はすごく楽になったと思います。
あと簡易的な拘束ができるTriball。拘束をかける前に視覚的に空間を把握しやすいところが、作業性がいいと思います。
車がお好きだそうですが、IRONCADは車で例えるとどんな車ですか?
(濵﨑氏)スポーツカーだと思いますよ。某有名CADがセダンであるならば、IRONCADはスポーツカーなのかな、と思います。
スポーツカーだときっちりと曲がりたい時には曲がって、止まりたい時には止まる。そういう感覚と直結したような運転が出来る車という意味合いを含んでいます。
▲ 島根県産業技術センターが主導する「島根県次世代自動車等技術研究会」で数社と共同で開発した電気自動車。バンパー は3D プリンタで出力した。
IRONCADに期待することは?
(濵﨑氏)お客さんも含めて広まっていけば、うちもデータのやり取りが楽になりますし、本当に使いやすいCADなのでユーザが増えていただけたらなあ、と正直思いますね。
あと要望ですが、複数人で設計する業務も増えてきているので、複数でスムーズに使えるものが出ればありがたいと思っています。
▲ 工場内の様子。設計から加工、組立まで一貫して行う。 いずれは3D の組立図を工場と 共有することを考えているとのこと。
将来的に目指すことは?
(濵﨑氏)強度計算の構造解析(Multi-Physics for IRONCAD)の方も少しずつ取り入れようと思っています。二次元のCADだけだったら難しいところですが、せっかくIRONCADを使っているので。違う観点から経験値を積み上げていきたいし、不具合があったときの対策のひとつとしてもう一歩踏み込んで確認をしたい。どんどん広げていきたいと思っています。
IRONCADを組立の現場でも導入すれば、図面や部品が出来ているけど組図は出来ていないという状態でも、3Dを見て組むことでレスポンスも早くなるでしょうし、将来的には加工の方につなげていけたらと思っています。
取材: 2016年