株式会社シュルード設計は、プラント、機械、建築、文化財、映像等の多岐にわたる分野で、3Dデータを活用したソリューションサービスを提供しています。スキャニングによる3Dデータの作成とそれにまつわるソフトウェア開発、モデリング、設備・機械設計などをトータルで行います。小回りが利き、すべてを社内で完結できるので、次々に新しい開発が可能です。10年以上前から3Dスキャナーでの取り込みを始め、3D化やデータの最適化についてのノウハウを持っている点が当社の強味です。
株式会社シュルード設計 [ 3Dソリューション・ソフトウェア開発・機械設計 ]
所在地: 京都府京都市伏見区西大手町313-8 大手筋ビルウエスト1 3F
TEL: 075-644-9523
機械の知識がなくても3次元化が可能なIRONCAD。
自社開発の点群ソフトとの組み合わせで3Dデータ運用を効率化。
3D化とソフトと設計で一貫した3次元サービスを展開
(安達氏)弊社は、機械設計とソフトウェア開発、3Dソリューションという3部隊で主に事業を展開しています。
機械部門は、当初FA機、産業機械の設計を行っていましたが、電子制御と合わせた小物の機械制御の事業に変わってきています。電子基板を利用した、3Dプリントによる試作を主に展開している部隊です。ソフト部門は、製鉄所やプラント系の大きな設備を展開しているお客様が多いので、そこで使えるアプリケーションを開発しています。3Dソリューション部門は、3Dスキャナーで現場を測定してデジタル化してから、その中で工事の内容や配管設備の新規検討などを行っています。
代表取締役 安達 基朗 氏
3D化してから機械的要素を与えれば早い
(安達氏)当社の場合、何か課題があって3次元化を目指したわけではなく、3次元スキャナーを使うなら、すべてを3次元化し、そのためにCADも3次元にしよう、というところからCAD選定を始めました。
CADを選定していた当時、多くの3D CADには、2Dを描いてそれに高さを与えるという2Dの延長的な感覚がありました。それは悪くはないのですが、「まず2D図面の概念がないと3次元化ができないという機械CAD」ではなく、直感的に3次元を作ってから機械的要素を入れるような形で運用したかったんです。年配の技術者の業務はチェックが主となり、3次元化は若い人たちがしなければならなかったのですが、機械の知識が豊富な人はなかなか採用できませんでした。それなら機械の知識を以て3次元化するより、3次元化してしまってから機械的要素を与える方が早いので、「もっと感覚的に3次元化できるようなCAD」が欲しかったんです。
2D設計を知らなくても始められる
(安達氏)2D CADで機械設計をしていた人は、やはり(2Dベースの)ほかのCADの方が良く、IRONCADは使いにくい部分があるようですが、新しい社員はもうまったくIRONCADの方がすぐ馴染める様子でしたね。
(松田氏)私は学校も前職も工業とは無関係でまったくの未経験でしたが、IRONCADのモデル化の手法は、ほかのCADとすごく差別化されている印象を受けました。弊社ではほかのCADも扱っていますが、あくまで2D図面に慣れ親しんだ人がモデルを作り上げるのに適しています。IRONCADはそれとはまた異なり、3Dで組み上げていく感覚が初心者にもわかりやすく、使い慣れてくればプロフェッショナルな仕事にも活用できるところが私はとても好きですね。
(平井氏)IRONCADならブロックを置いていけば形ができていく。あまり設計業務に携わっていなくてもイメージがすぐ湧くのではないかと思います。且つどんな人でも慣れるのにあまり苦労しないというイメージです。
デジタルサービス課 主任 松田 真澄 氏
拘束条件のないTriBallが魅力
(安達氏)IRONCADを「あ、これいいな」と思ったのは、拘束条件がなくポンポン配置していける「TriBall」でした。機械設計者は「あんなものは積み木だ」という意見でしたが、当社は逆にそれがいいと思っていたので、すごく魅力に感じましたね。
もともと導入していた3D CADは重くて、拘束条件などの色々な手間暇がかかっていたのですが、IRONCADは本当に直感的にものを作れるので、その部分では非常によかったと思います。
CADは使い分けて運用が吉
(安達氏)IRONCADは、曲面など色々と弱い部分はあるのですが、その分TriBallなどの機能のおかげで、機械的な水平垂直のものに関してはとても早くできるので、ちゃんとCADの使い分けができるようになりましたね。「いずれかのCAD一本あれば全部これでOK」というのは、なかなか難しい。当社の場合機械設計だけではないので、複合的に考えたときに、一点特化しているIRONCADは相性がよかったのだと思います。
点群が読める点を評価
(安達氏)IRONCADとの相性がよかったのは、ひとつはやはり、IRONCADはいち早く点群が読めるようになったという点が大きかったですね。
(平井氏)点群が読めることの利点は、いちいちメジャーで測る必要がなく、測り忘れもないことです。ただ点群データを取っておけば、IRONCADを駆使してすぐにものを配置できてしまいます。
(松田氏)ほかのCADだと、点群データを読めても大体1GBくらいまでという制約がある中で、IRONCADだとそのパソコンのスペック次第でもっと多くの点群が読めたりするので、使いやすいです。
機械技術課 係長 平井 一輝 氏
▲ 文化財を3Dスキャンし、ソリッドモデル化。保全活動を行う自治体や映像会社等へ納入している。
点群が読めたおかげで工数削減
(平井氏)IRONCADで点群が読めることを知ってからは、革命的な進歩があったと思います。点群ソフトでモデル化して、それをIRONCADに読み込んでいたのが、点群ソフトを経由せず、IRONCADだけでできるようになったので、すごく革命的でした。
既設の部分はモデリングせずに点群で表示して、新設の配管だけ作成すれば、干渉していないことを説明しやすいです。治具製作の場合も、3Dスキャナーで実形状を計測してIRONCADに点群データを読み込めば、モデリングする必要がありません。その形状に沿って治具を製作しています。2D図面を3Dでモデリングし直すという依頼があっても、「3DスキャンしてあればOKだから図面化していこう」という話ができるので、実工数は減ったかなと思います。
▲スキャン・分割した既設の点群(一番上)とモデリングした新設の配管(真ん中)。IRONCADは複数の分割された点群も読み込み可能(一番下)。 「これくらいの点群だったら1日で撮って、その次の日くらいには用意できます。IRONCADユーザーなら点群データだけお渡しすることも可能です。」と平井氏。
自社開発の点群ソフトと相性抜群
(安達氏)当社独自の点群ソフトには、モデリング機能は入れていません。理由は、開発費も販売価格も高くなるからです。今はCAD側が点群を入れられるようになっています。点群ソフトでモデリングせずに、使用するCADに点群を取り込んだ方がどう考えても利便性が高いので、当社では設備関係のCAD化については点群ソフトでのモデリングをあまり推奨していません。しかし3D CADは、点群専用ソフトほど点群に対して容量を割いておらず、点群の軸合わせの機能がないので、事前に細かく切り分けたり、軽量化したり、軸を合わせたりする必要があります。当社のソフトは点群の軸合わせや容量を減らすことに特化しており、そのままIRONCADに入れやすくなるように開発されています。
▲鋼材の腐食検査をドローンで行うための事前検証データ。 建屋をスキャン(左)し、点群を元にIRONCADで骨組みをモデリング(右)。アルミフレーム架台の搬出入やドローン操作の可否などを検討した。
取材: 2023年