株式会社プロテリアル安来工場は、プロテリアルグループの多岐にわたる事業の一角を担い、自動車やエレクトロニクス、航空機などの製品に使用される部品や素材の生産と製品開発を行っています。古来よりたたら製鉄の盛んな出雲の地で、120年以上にわたり受け継がれる「誠実生美鋼*(誠実は美鋼を生む)」の精神でものづくりに臨んでいます。
*安来工場工場訓
株式会社プロテリアル 安来工場 [ 材料開発・特殊鋼生産 ]
所在地: 島根県安来市安来町2107番地2
TEL: 0854-22-3501
高品質な特殊鋼を生み出す、生産設備の内製によるものづくり
誰もが使いこなせるIRONCADで全員が即戦力に
生産技術と研究開発が生み出す高品質な特殊鋼
(池尻氏)安来工場の主力生産品は特殊鋼で、一般的な鉄に比べ強靭で錆びにくく、高温環境に強い鋼を作っています。特殊鋼は工具鋼、産機材、電子材、航空機やエネルギー発電用の4つに大別され、特に航空機・発電用の超耐熱合金は、非常に高温強度が高く、作るのが難しい素材です。
我々のものづくりの強みは、内部に生産技術や研究所を擁し、製品開発に注力している点です。独自の生産設備を自分たちで検討・設計し、成分調整、溶かし方、加工法などを試行錯誤しながら、お客様が求めるものを作り込むことができます。

生産技術部 部長
池尻 太一 氏
メイン設備の多種多様な周辺装置を設計
(門脇氏)生産技術部では、安来工場内で新規設備の導入や既存設備の改造が発生した際に、生産性向上や機能アップの施策の妥当性を評価の上、導入計画の策定・実施に移ります。実施にあたり必要な環境の整備が私の主な業務です。
切断機、加工機、炉といったメイン設備は専門メーカーから購入し、搬送ハンドリング系の装置を中心に、メイン設備の前後に配置する周辺装置を自社で設計しています。
(中江氏)他部署から相談があれば、連携してアイデアを出し、私たちが設備の形にします。小型の自動設備から、重量が30屯ほどの巨大なワークを搬送する装置まで、本当に多種多様な装置を設計してます。

生産技術部 技術グループ 主任技師
門脇 良太 氏
据付後の要望多発で3D化を決意
(門脇氏)従来の2D CADでは、形状が複雑になると見落としが発生しやすくなり、干渉や配置ミスが設計後に判明する事態がどうしても起こります。そのため、「安全で生産性が高く、使い勝手の良い装置を設計する」という生産技術部の使命が、長い間形骸化していました。
また、自部門内のレビューや他部門との情報共有が非常に難しく、設計意図の伝達に多くの工数を費やしていました。それで伝わるのならいいのですが、承認を経て製作・据付まで終わってから相当数のコメントが出てくるんです。現場側からすれば、2Dでは確認しきれないのだと思います。2Dでの限界を感じ、これらの課題を解決するのに、3D CADを導入しようとしたのが2018、19年頃です。

生産技術部 技術グループ 主任技師
中江 信治 氏
IRONCADなら全員が活用できる
(門脇氏)ウェブで情報収集中に想定価格帯でIRONCADを見つけ、市場評価も高かったので候補として注目していました。当時すでにIRONCADを導入していた地元の取引先にプレゼンをお願いしたところ、実際の業務での使用についてウェブでは得られない話を聞くことができ、操作性の良さが増々強く印象に残りました。
CAD選定で最重要視したのは、我々技術グループの「機械設計者全員」が、ツールとして活用できることです。CADはあくまでツールであり、目的にしてはいけません。
IRONCADの短期間での習得や操作性は、絶対的な選定の決め手になりました。本当に感覚的にモデリングできるので、周囲に説明する際はPowerPoint、ExcelなどOffice系の描画ツールに例えています。学習コストの低さでも優れており、講習会に参加した設計者がわずか1週間で基本操作を習得できたことは大きな魅力でした。
他社3D CADは非常に高機能で、製品を作る際には有効なのですが、特定の人しか使えず、結果的に従来の2Dに戻ってしまう恐れがありました。我々のように装置開発初期検討がメインだと、IRONCADに分があると思います。
設計者の視点で作られたCAD
(門脇氏)実際に使ってみると想像以上に直感的で、設計者の視点で作られていると感じました。本当に構想設計の自由度が高く、それがとても好印象です。ポンチ絵を描くときも、サイズ感などの点で、2D CADよりも効率的だと感じることが多くあります。新規案件については、今後は3Dのみで対応できると確信しています。
フィードバックの活発化で手直しが激減
(門脇氏)導入後は課題が大きく改善されました。構想設計における干渉や配置ミスが減少し、設計の精度も向上しています。一番懸念だった生産部門とのレビュー会も、その場で管理者、作業者目線から活発なフィードバックを得られるようになり、設計段階で高精度な作り込みが可能になりました。結果的に構想段階での検討スピードも上がり、何より据付後の手直しが大幅に減ったと思います。定量的には表せませんが、定性的には間違いなく感じています。とても厳しい納期でも立ち上げがスムーズなので、納期遵守にも貢献していると思います。
(石原氏)私自身は電気系を担当しているので、機械図面が2Dだとわかりにくい部分がありますが、3Dで図面化されていると、新たな気付きや理解度向上、会話の広がりにもつながると思います。

生産技術部 技術グループ長
石原 広一郎氏
設計変更や管理がラクに
(門脇氏)また、設計変更への対応がとても早くなりました。3Dモデルから2Dへの自動反映に加え、2Dの部品図を描く必要がないのが便利だと思います。特に、これまで時間を取られていた断面図が自動で生成できるので、2D製作の作業負担が軽減されていると感じます。
(佐藤氏)管理も楽になりました。親アセンブリの下に部品、さらに2次元図面が紐づき、どれか1つ修正すれば、全部に反映されるので、組図の修正時に部品図を修正し忘れるようなことがなくなりました。

生産技術部 技術グループ
佐藤 建 氏
他部署にも自然拡大
(門脇氏)最初は1本だったのが、どんどん増設して今の本数に至っています。私たちが勧めたわけでもないのに、他部署でも自主的に購入しているので、やはり本質的にいいCADなのだと思います。
TriBallひとつで移動・傾斜・ミラー処理
(中江氏)3D形状を直接持ってこられる「カタログ」と、移動やコピーがとても簡単な「TriBall」の機能が気に入っています。
他部署に3Dで設備を確認してもらうと理解が早いのは当然として、部品をもう少し右に寄せたいという要望が出た時に、その場でTriBallで右に動かせるので、修正が早いんです。一旦持ち帰って修正後に再度打ち合わせではなく、その場ですぐに修正できるのがいいですね。新入社員にはカタログとTriBallさえ教えておけば、あとは自力でできるので、使いやすいのだろうと思います。
(門脇氏)TriBallは、角度が変えられるのがすごいですね。45度の形状を2Dで描くのは大変なんです。「軸でずらす」*という考えがとても画期的だと思います。基準を決めてコピー・移動するという(2Dで)当たり前のコマンドが、3Dでこんなに簡単にできるのは、おそらくこのTriBallのおかげなのだろうと思います。
*TriBallは軸を基準に任意の角度でオブジェクトを回転可能
(佐藤氏)TriBallを起点に3軸方向にミラーコピーできるのが楽です。わざわざリンクコピーして位置を調整しなくても、高さや幅を基準にミラー処理をかけられるのが気に入っています。

▲搬送・マテハン装置の3Dモデル(上)と実物(下)
MPICで信頼性を確保
(門脇氏)アドインはCAE解析用にMPICのBasicを使用しています。作成した3Dモデルから直接解析ができるので、非常に便利です。一度条件を設定したら、あとは板厚や梁の本数・幅など3Dモデルを変更して、自動解析ボタンをクリックするだけで、メッシュを切って結果を出してくれるので、試行錯誤するのに非常に助かっています。特に架台など複合梁の構造物の信頼性を確保するために活用しています。視覚的に応力の発生場所や絶対値を出せるので、説得力が上がりました。
IRONCAD活用で改造案件でのスケッチ廃止を目指す
(門脇氏)IRONCADを活用して、新規案件では工場のレイアウト、改造案件では関連設備をスキャナで取り込んで図形化したいと考えています。古い設備も多く、現在図面のないものはスケッチで起こしているのですが、そういった作業をなくすことを目指しています。
取材: 2025年